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久しぶりに講演・研修の話題も

  • 本田有明
  • 10月20日
  • 読了時間: 3分

リベラルアーツのすすめ


 近年、児童書の刊行が多くなってきましたが、講演や研修のほうも行っています。

 昨今の独自のテーマは、というと「リベラルアーツ」です。4年前に『哲学のすすめ』(日本監督士協会)という通信教育の教材を作成したところ、会社や自治体から予想以上の問い合わせがありました。幹部、管理職のハラスメントが社会問題化している今、肝心なのは上位層の人格の育成ではないかと気づき始めた組織が多くなったからでしょう。


 リベラルアーツとは、広義の人文・哲学的教養のこと。これを前面に打ち出した代表的な人は、『論語と算盤』を書いた渋沢栄一です。この人は、そろばん勘定の前に、まず孔子の『論語』を学び、古典の知恵にもとづいて日々の意思決定を行おうとしました。その姿勢が「リベラルアーツに学ぶ」というものです。



自分が依拠する土台をつくる


 私の大学時代の専攻は哲学でした。学んだものの中には、経営管理や意思決定に活かせる知恵がたくさんありました。たとえばデカルトの『方法序説』やカントの『道徳形而上学の基礎づけ』。書名は思いきり難解そうですが、実際に読んでみると、それほどでもありません。自分の生き方の方向づけや、意思決定における倫理的な原則が、わかりやすい言葉で記されています。

 これらを読み込んだうえで、自分の原理原則を確立・確認しようではないか、というのが私の趣旨です。ハラスメントやアンガーが広く社会にはびこっていますが、まずリベラルアーツを学ぶことが、遠回りに見えて問題解決に至る近道だと考えています。古い言葉を用いると「自己陶冶」でしょうか。


 このテーマで最初に研修を行ったのは、埼玉県経営者協会でした。「社長塾」と題して、トップと幹部向けに全6回の連続研修を実施しました。「まず隗より始めよ」というわけですね。幹部選抜研修として開催するときは、レポート提出などを含め、少し厳しめの内容で参加者に頭をつかっていただいています。

 提出されたレポートには、それぞれ私の感想や評価を記すので、手を抜けません。児童書執筆とは違った意味合いでの、真剣勝負。受講者だけでなく講師にとっても、よい学びの機会となります。


 回数的に多いのは、90分程度の講演です。講演にはレポート提出などを義務付けることはなく、講師としても気が楽なのですが、たまにしっかり勉強してレポートを直接筆者に送ってくる豪の者もいます。過去に数人程度ですが、その意気やよし。ついこちらも真剣に相対してしまいます。……その結果、頭の周波数が児童書からずれてしまい、復旧するのにかなり時間がかかるという弊害が生じます。まあそれも、幸せな悩みというべきかもしれませんが。


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